2012年4月10日火曜日

PCT国際出願関係手続Q&A


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ここでは、PCT特許協力条約に基づく国際出願に関する手続についてのQ&Aを掲載しています。

御不明な点は、下記<この記事に関するお問い合わせ先>へお問い合わせください。

また、本記事に登場する各様式については、「特許協力条約(PCT)に基づく国際出願の手続 受理官庁【様式編】」を御参照ください。

目次 (目次に戻る場合はブラウザの操作によりお願いします。)

−国際段階の手続−

<出願手続に関連する質問>

1 特許庁を受理官庁とする国際出願の提出方法にはどのようなものがありますか。

2 出願時には委任状の提出を省略できますか。

3 みなし全指定により、米国も指定していることになりますが、米国の出願人は発明者に限られています。出願人が法人のみである国際出願は認められないのですか。

4 願書には保護の種類の記入欄がありません。実用新案を取りたいときはどのように表記するのですか。

5 図面の代わりに写真を提出することができますか。

6 電子出願の願書の受理官庁に対する優先権書類送付請求のチェックボックスにチェックした場合、「優先権証明願(PCT)」はどのように提出するのですか。

7 願書第Ⅷ欄の申立て(PCT第4.17規則に規定する申立て)の書き方を教えてください。

8 配列表を含む国際出願を電子で提出した場合も、配列表を格納した調査用の磁気ディスクを提出する必要がありますか。

9 電子出願以外の国際出願、及び手続補足書に識別ラベルは使用できますか。

<手数料に関連する質問>

10 「WIPO-PCT,Geneva」及び「EPO/JP-WIPO」の口座への振込に際し、インターネットバンキングを利用できますか。

11 配列表を含む国際出願を、オンラインで提出した場合と書面で提出した場合とで、国際出願手数料の計算方法は異なりますか。

<優先権主張を伴う出願に関連する質問>

12 ある出願を基礎として優先権主張して国際出願することは可能ですか。

13 優先権の基礎となった日本の国内出願が、「みなし取下げ」にならないようにするにはどうすればいいのですか。

<出願後の手続(中間手続)に関連する質問>

14 電子出願の場合、手続補正書、明らかな誤りの訂正請求書等に添付する、国際出願の書類の差替え用紙はどのように作成しますか。

15 条約第19条及び第34条の規定に基づく「請求の範囲」の補正方法にかかる注意点を教えてください。

<国際調査・国際予備審査に関連する質問>

16 国際調査見解書とはどのようなものですか。

17 国際調査報告とともに受領した国際調査見解書に対して出願人がとりうるアクションはなんですか。

18 予備審査を早く開始してほしいときは、どうすればいいのですか。

19 IPRP(第Ⅰ章)とIPRP(第Ⅱ章)の違いは何ですか。

20 IPRP(第Ⅰ章)とIPRP(第Ⅱ章)ともに、特許性の判断をする「基準日」は同一ということですか。

21 IPRP(第Ⅰ章)やIPRP(第Ⅱ章)の英語による翻訳はいつ作成されますか?出願人には送付されますか?

<国際事務局に対する手続に関連する質問>

22 国際事務局への書類の提出方法の一つである、「PCTオンラインドキュメントアップロードサービス」について教えてください。

23 条約第19条に基づく補正等、国際事務局へ直接する手続を代理人が行う際に、委任状は必要ですか。

24 国際事務局に対し、早期の国際公開の請求をしました。請求後、どのくらいの期間で公開されますか。

−国内段階の手続−

<国内移行手続に関連する質問>

25 国内移行期限(条約第22条)はいつですか。

26 外国語でされた国際特許出願(外国語特許出願)の翻訳文提出の特例期間(特許法第184条の4第1項)について教えてください。

27 PCT規則には、条約第22条に規定する期間(以下「国内移行期限」という。)を過ぎても、期間経過に対する救済措置があると聞きました。日本の国内移行についてもこれが認められますか。

28 国内移行期限の徒過に対する権利回復の救済措置が日本では適用されないことはわかりましたが、PCT規則上の救済措置では、いつまでに、どのような手続によって権利回復が認められるのでしょうか。

Q&A
通番 Q&A
1 【問】特許庁を受理官庁とする国際出願の提出方法にはどのようなものがありますか。

【回答】

(1)書面による出願

国際出願様式の書面に記載した願書・明細書等を特許庁国際出願課受理官庁受付窓口、郵送又はFAXで提出します。

最新の願書の様式は「PCT願書/国際予備審査請求書の様式」を御覧ください。

(2)PCT-SAFEソフトウェア(EASYモード)を利用した書面による出願

世界知的所有権機関(以下「WIPO」という。)が提供する「PCT-SAFEソフトウェア」のEASYモードで作成した願書を印刷した書面と、願書及び要約書のデータを格納したFD(フレキシブルディスク)、及び書面にて作成した明細書等と共に提出します。

PCT-SAFEとその他必要なソフトウェア、PCT-SAFEのユーザーマニュアル等については「PCT-ROインターネット出願支援サイト」から入手することができます。なお、平成24年4月1日より、願書及び要約書のデータを格納する記録媒体は「磁気ディスク」に改め、FDに加え、CD-Rも認められます。詳しくは「EASYモード出願の際に提出する記録媒体にCD-Rが追加されます」を御覧ください。

(3)インターネット回線を利用した電子出願

独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が提供する「インターネット出願ソフト」もしくはWIPOが提供する「PCT-SAFEソフトウェア」等を利用しXML形式で保存した願書・明細書等をインターネット回線で提出します。

「PCT-SAFEソフトウェア」は日本語出願、英語出願共にご利用可能です。

2つのソフトウェアの特徴については「PCT国際出願のインターネット出願を行うためのソフトウェアについて」を御覧ください。

インターネット回線を利用して提出できるものは国際出願のみであり、出願ののちに行う予備審査請求書等のいわゆる「中間手続」は、オンラインによる提出はできません。


ここで、シックスシグマは、その名前を取得しません

※なお、(2)、(3)の方法を利用した場合、国際出願手数料からの減額があります。詳しくは、「国際出願関係手数料表」を御覧ください。

2 【問】出願時には委任状の提出を省略できますか。

【回答】

はい。国際出願時には代理権を証する書面を要求しません。

しかしながら、出願時の願書に表示されていない代理人又は共通の代表者が新たに選任される場合、別個の委任状又は包括委任状の写しを提出しなければなりません。

なお、PCT規則90.4(d)の規定により、国際出願の取下げ、指定の取下げ、優先権主張の取下げ並びに国際予備審査請求の取下げ又は選択の取下げ手続は、委任状の提出要件の放棄は適用されませんので御注意ください。

3 【問】みなし全指定により、米国も指定していることになりますが、米国の出願人は発明者に限られています。出願人が法人のみである国際出願は認められないのですか。
【回答】
国際出願は認められます。ただし、その国際出願は、指定官庁としての米国特許商標庁によって拒否されることがあります。このため、米国の出願人要件を満たしていない国際出願については、受理官庁から出願人あてに注意喚起の通知(RO/132)が送付されます。もし米国に国内移行をする意志があれば、発明者に出願人の地位を与える等、米国の出願人の関係を整えた「名義変更届」を提出してください。
4 【問】願書には保護の種類の記入欄がありません。実用新案を取りたいときはどのように表記するのですか。
【回答】
国際出願時に保護の種類を明示することはできません。ある指定国において、特定の保護の種類を求めたい場合には、その国へ国内移行するときに当該指定国に対して、特定の保護の種類、例えば実用新案の保護を求める旨の表示をすることになります。
なお、追加特許、追加証、追加発明者証、追加実用証、継続出願、一部継続出願については、国際調査の目的から国際出願時に追記欄へ、該当する保護の種類を表示する必要があります。
また、日本において実用新案の保護を求める旨の表示は、国内書面中の【出願の表示】、【出願の区分】へ「実用新案登録」と記載してください。
5 【問】図面の代わりに写真を提出することができますか。
【回答】
図面に代えて写真を使用することについては、PCT条約等において規定はありません。しかしながら、結晶構造など、図で示すことができない場合には写真が認められています。例外的に写真を提出する場合には、白黒写真でなければならず、カラー写真は認められておりません(PCT出願人の手引き国際段階の概要5.159 「PCT Applicant's Guide-International Phase 5.159」)。
書面出願の図面はIBにてスキャニングされ、電子出願の図面のデータはTIFF(解像度300dpi)に変換されて、いずれもモノクロ2値(白黒二色)で国際公開されると共に、各加盟国へ送付されます。
したがって、図面に代えて写真を提出しても、それがそのままの画質で国際公開される、あるいは各加盟国に送付される訳ではないことに注意が必要です。スキャニングにより画像が劣化することは避けられず、写真やグレースケールの図面で表現された薄い色は白色で、濃いグレーは黒色で表現されて国際公開されている例も見受けられます。
このように、図面の画像が劣化することや、モノクロ2値(白黒二色)に変換されることを御理解の上で、図面(写真を含む)を作成してください。
発明内容を説明するための図面が、国際公開時や各加盟国送付時には当初意図した図面と異なり、その役割を果たせないということのないよう、図面に代えて写真を提出する場合には明るさやコントラスト等を調整するなどし、白黒で十分に表現できるような図面を作成してください。
なお、書面出願(EASYモード出願の場合を含む。)において、図面に代えて写真を提出する場合、提出する部数は3部(記録原本用・受理官庁用・調査機関用)です。
6 【問】電子出願の願書の受理官庁に対する優先権書類送付請求のチェックボックスにチェックした場合、「優先権証明願(PCT)」はどのように提出するのですか。
【回答】
出願から3日以内に特許庁国際出願課受理官庁に届くように「手続補足書」に「優先権証明願(PCT)」を添付して書面で提出してください。また、出願から3日以内に提出できない場合には、出願時に優先権書類を送付請求(チェックボックスにチェック)せず、優先日から16月以内に、「優先権書類送付請求書」に「優先権証明願(PCT)」を添付して書面で特許庁国際出願課受理官庁へ提出してください。
7 【問】願書第Ⅷ欄の申立て(PCT第4.17規則に規定する申立て)の書き方を教えてください。
【回答】
願書第[欄の申立て(PCT第4.17規則に規定する申立て)については、「PCT第4.17規則に規定する申立て手続の導入」を御参照ください。具体的なケースにおける記載方法や、願書提出後の訂正手続については、WIPO国際事務局「PCTインフォメーション・サービス」へお問合せください。
8 【問】配列表を含む国際出願を電子で提出した場合も、配列表を格納した調査用の磁気ディスクを提出する必要がありますか。
【回答】
いいえ。「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」に従いコードデータで作成した配列表を添付した電子出願については、調査用磁気ディスクの提出は不要です。なお、配列表を含む国際出願を電子出願した場合には、「陳述書」及び「磁気ディスクの内容を記載した書面」についても提出は不要になります。
9 【問】電子出願以外の国際出願、及び手続補足書に識別ラベルは使用できますか。
【回答】
できません。中間手続等の書面による手続と同様、提出者の記名押印が必要となります。
10 【問】「WIPO-PCT,Geneva」及び「EPO/JP-WIPO」の口座への振込に際し、インターネットバンキングを利用できますか。

【回答】

入力ミス等により振込の事実が確認できない場合もありますので、振込証明書が発行される銀行窓口及びATMからの振込みをお勧めします。
ただし、次の条件を全て満たす場合に限り利用することができます。

(1)願書に申請人識別番号及び書類記号の記載があること。

(2)適正額を振込むこと。

(3)振込人欄に下記(1)から(3)を続けて入力すること。

必須(1)手続実行者の「申請人識別番号」(数字9桁)

必須(2)願書に記載した「書類記号」(英数字12桁)

※(1)に続けて入力し、書類記号が12桁に満たない場合は12桁になるようスペースを入力してください。


ソフトウェアのメンテナンスとその理由

(3)振込人氏名(任意項目)

※入力する場合は以下を参考に、22桁目以降((1)9桁+(2)12桁の入力以降)から氏名を入力して下さい。

(入力例)

(a)

(b)

※入力文字数の制限により全氏名が記載できない場合は、氏名の途中で切れてもかまいません。

※間違いやすい文字に注意して下さい。

(「0(ゼロ)」と「o(オー)」、「1」と「l(エル)」、「-(ハイフン)」と「_(アンダースコア)」)など

(4)振込証明書を発行できる銀行のインターネットバンキングであること。

※振込の事実が確認できない場合は、銀行発行の振込証明書の提出を求めることがあります。

11 【問】配列表を含む国際出願を、オンラインで提出した場合と書面で提出した場合とで、国際出願手数料の計算方法は異なりますか。
【回答】
はい。配列表を含む国際出願をオンラインで提出するときと、書面(PCT-SAFEのEASYモード出願(問1参照)の場合を含む。)で提出するときとでは、国際出願手数料の計算方法が相違します。電子出願する場合は「配列表」の全枚数を国際出願手数料の計算対象外とします。つまり、配列表の枚数についてはカウントせず、料金は加算されません。これに対し、書面(EASYモード出願の場合を含む。)で行う場合は「願書、明細書、請求の範囲、要約書及び図面」と「配列表」を分離せずに、その合計枚数をカウントし、国際出願手数料を計算します。詳細は、「配列表を含む国際出願の国際出願手数料の計算方法変更について」を御覧ください。
12 【問】ある出願を基礎として優先権主張して国際出願することは可能ですか。
【回答】
可能です。パリ条約の締約国及びWTO加盟国にした先の出願に基づき、優先権を主張して国際出願することができます。国際出願を基礎出願としてパリ条約上の優先権を主張することも可能です。
基礎出願と後の出願である国際出願との関係は、原則としてパリ条約上の優先権の関係になります。
ただし、国内出願を基礎として優先権主張をして国際出願した場合、みなし全指定(出願時におけるPCT加盟国全てを指定した出願として扱うこと)により指定国の日本においては、特許法第41条、第42条が規定する国内優先権となります。(問13も併せて御参照ください。)
13 【問】優先権の基礎となった日本の国内出願が、「みなし取下げ」にならないようにするにはどうすればいいのですか。
【回答】
日本を指定国に含む国際出願において日本の国内出願を基礎として優先権の主張をした場合に、日本においてはそれが適式に主張されていれば特許法第41条、第42条が規定する国内優先権制度が適用されることになり(「特許・実用新案審査基準 第IV部優先権 第2章 国内優先権」)を御参照ください)、国内優先権の基礎となった先の国内出願は優先日から15ヶ月経過した時にみなし取下げとなります。
優先権の基礎となった日本の国内出願が、「みなし取下げ」にならないようにするには以下のいずれかの方法があります。
優先権の基礎となった日本の国内出願が「みなし取下げ」にならないようにする方法
方法 いつまでに 何を (代理人手続の場合) どのように
(1)日本の指定を取り下げる 優先権の基礎となる国内出願の出願日から15ヶ月経過前(但し日本に国内移行及び審査請求を行い、既に国内出願としての処理又は審査を開始している場合には取下げの効力は生じません) 指定の取下書
様式見本
(国際出願の出願人全員の授権がある委任状を添付) 書面で受理官庁へ提出
※日本の指定を取り下げることでその国際出願について、日本においては出願が取り下げられたとみなされます。
(2)国内優先権主張を取り下げる 優先権の基礎となる国内出願の出願日から15ヶ月経過前 上申書
様式見本
(指定国日本における出願人全員の授権がある委任状を添付) 書面で受理官庁へ提出
※指定国日本においては、国内優先権主張を伴わない国際出願として扱われます。
日本以外の指定国においては、パリ条約による優先権主張は維持されます。したがって、国際段階の手続の期間計算の起算日としての優先日には影響はありません。
国内優先権主張を期間内に取り下げることで、国内優先権適用の効果は発生しないため、これによって先の国内出願がみなし取下げとはなりません。
(3)願書上で日本の指定を除外する
※「日本国の指定の除外に関する注意点」も御覧ください。
出願時 願書第V欄のJP除外ボックスにチェックする    
※上記(1)、(2)は国際出願の後に行うため、その手続を行わないままの可能性もあります。(3)は国際出願の願書上で日本の指定を除外するため、出願後に(1)や(2)の手続を行う必要はありませんが、その国際出願ははじめから日本を指定国に含んでいないことになるため、日本へ出願したものとはなりません。
14 【問】電子出願の場合、手続補正書、明らかな誤りの訂正請求書等に添付する、国際出願書類の差替え用紙はどのように作成しますか。
【回答】
補正又は訂正に係る差替え用紙は、出願したソフトでPDFイメージにて表示される頁を単位として作成します。つまり、実際に紙に打ち出した用紙の頁を単位として作成します。

(1)国際出願法第6条の規定に基づく補正または明らかな誤りの訂正請求(国際出願法施行規則第77条)により、明細書、請求の範囲、図面の補正または訂正をする場合には、補正等により変更が生じた用紙のみを差替え用紙として作成、提出します。

(2)条約第34条の規定に基づく補正(法第11条の規定に基づく補正)において、明細書、図面の補正をする場合も同様です。ただし、『請求の範囲』を補正する場合については全文(全用紙)を差替え用紙として作成、提出します。問15を御覧ください。


株価のプロジェクトへの影響はどのように?
15 【問】条約第19条及び第34条の規定に基づく「請求の範囲」の補正方法にかかる注意点を教えてください。
【回答】
2009年7月1日のPCT規則改正により、条約第19条及び第34条の規定に基づき「請求の範囲」を補正する場合は、補正の範囲の全文を差替え用紙として提出することとなりました。(これまでは補正により変更が生じた用紙のみを差替え用紙として提出していました。)改正に伴い、御注意いただきたい点は以下のとおりです。

1.請求の範囲の全文(補正後に変更が生じない用紙を含む全用紙)を差替え用紙として提出します。

2.明細書や図面の補正をする場合や、請求の範囲についての様式上の欠陥を補充する場合(国際出願法第6条)、及び明らかな誤りの訂正請求をする場合(国際出願法施行規則第77条)については従来どおり補正によって変更が生じた用紙のみを差替え用紙として提出します。

3.国際出願日に関わらず、2009年7月1日以降、「請求の範囲」を補正する場合に適用されます。

補正方法の詳細については「条約第19条・34条の規定に基づく「請求の範囲」の補正方法」 をあわせて御覧ください。

16 【問】国際調査見解書とはどのようなものですか。
【回答】
国際調査見解書(WO/ISA)は、審査官が発明の特許性(産業上の利用性、新規性、進歩性)についての肯定的又は否定的な見解を示すもので、国際調査報告書と同時に、国際調査報告書の言語と同じ言語で作成され、国際調査報告書に添付されます。作成された国際調査報告書と国際調査見解書は、出願人と国際事務局へ送付されます。
この国際調査機関による見解書は、出願人が国際予備審査を請求せずとも、また発明の特許性が肯定的な場合であっても必ず作成されるので、出願人は、PCT国際段階のより早い時期に利用価値の高い審査官の判断を手に入れることができます。
また、見解書は、その国際出願について国際予備審査請求がされない場合は、「特許性に関する国際予備報告(第Ⅰ章)(IPRP(第Ⅰ章))」と改称されて指定国に送付されます。
国際予備審査が請求された場合には、国際調査見解書は原則として国際予備審査機関による第一回目の見解書とみなされます。
(国際予備審査の結果作成される「国際予備審査報告」は、上記「IPRP(第Ⅰ章)」と平そくを合わせ、「特許性に関する国際予備報告(第Ⅱ章)(IPRP(第Ⅱ章))」と称されています。)
17 【問】国際調査報告とともに受領した国際調査見解書に対して出願人がとりうるアクションはなんですか。
【回答】

次の5つが考えられます。

(1) 国際調査見解書に対する反論を「コメント」として国際事務局に対して提出する。ただし、この「コメント」は、国際事務局が指定官庁に転送するために単に受け付けるもので、PCT条約上で明文化されていない「非公式なコメント」として取り扱われます。

なお、非公式コメントを提出した場合は、国際事務局から出願人へ受領通知(IB/345)が送付されます。

条約上明示された効果はありませんが、国際予備審査を請求しない場合に、国際調査見解書に対する意見、反論を指定官庁に対して示すことができます。ただし、その意見、反論を実体審査の際に参酌するかどうかは各国の指定官庁の判断に委ねられています。

詳細は、「PCT国際調査見解書に対する出願人のコメント(いわゆる非公式コメント)の提出について」を御覧ください。

(2) 国際事務局に対して19条補正を提出する。

(3) 国際予備審査請求をする。それによって、国際調査見解書に対して正式に反駁、抗弁することができます。(いつまでに国際調査見解書に対して応答すればよいかという点については、優先日から22月までに行うことをお薦めします。国際予備審査機関が予備審査に着手する前に応答しなければ、予備審査に参酌されないこととなります。)

(4) 国際出願を取り下げる。

(5) 何もしない。

否定的な国際調査見解書に対しては、出願人は(1)から(4)のいずれかを希望することが予想されますが、国際予備審査報告を肯定的な報告に転じさせたいときには、(3)により34条補正や答弁書を提出することが必要です。

18 【問】予備審査を早く開始してほしいときは、どうすればいいのですか。
【回答】
次の方法により予備審査の早期開始を請求できます。
1.国際予備審査請求時に早期開始を希望する。

国際予備審査請求書の「第Ⅳ欄 国際予備審査に対する基本事項」の「4.出願人が国際予備審査を規則54の2.1(a)に基づき適用される期間の満了よりも早く開始することを明示的に希望する。」のチェックボックスにレ印を付けて提出してください。

2.予備審査請求の後に早期開始を希望する。

予備審査請求後に、「国際予備審査開始請求書」を提出してください。 ただし、これらのいずれかの方法で早期開始請求を行ったとしても、予備審査請求にかかる手数料の全額が支払われなければ予備審査機関は予備審査を開始しません。


19 【問】IPRP(第Ⅰ章)とIPRP(第Ⅱ章)の違いは何ですか。
【回答】
国際出願について国際予備審査請求がされない場合に国際調査見解書が改称されてなる「特許性に関する国際予備報告(第Ⅰ章)(IPRP(第Ⅰ章))」と国際予備審査の結果作成される「特許性に関する国際予備報告(第Ⅱ章)(IPRP(第Ⅱ章))」とでは、審査官が特許性を判断する発明の土台が異なります。
IPRP(第Ⅰ章)は、"国際出願時の国際出願"を対象に特許性に関する審査官の見解を示すものです。他方、IPRP(第Ⅱ章)は、"その後の補正(19条、34条)及び出願人から審査官への反論等を踏まえて練り直された国際出願"を対象として作成されたものです。このように、IPRP(第Ⅰ章)とIPRP(第Ⅱ章)とは、報告書の対象となる国際出願の土台が異なることになります。
20 【問】IPRP(第Ⅰ章)とIPRP(第Ⅱ章)ともに、特許性の判断をする「基準日」は同一ということですか。
【回答】
はい。ともに優先日が基準日となります。
IPRPは、第I章、第II章のいずれであっても、発明の特許性にかかる審査官の判断です。したがって、判断の基準日はいずれも同じ基準日を持つ必要があります。そこで、現行国際予備審査における特許性の判断基準日としている「優先日(優先権主張があれば基礎出願日、なければ国際出願日)」をIPRPにとっての統一的な基準日としています。
なお、IPRP(第I章)を構成する国際調査見解書の作成は、国際調査報告書の作成と同時に行われますが、前者は優先日を特許性判断の基準日とし、後者は国際出願日を先行技術判断の基準日とします。これは、先行技術の判断を、たとえ指定国によって優先権主張が有効に認められなかったとしても、その価値を減じないために、より広めの範囲で先行技術の調査をしているからです。
21 【問】IPRP(第Ⅰ章)やIPRP(第Ⅱ章)の英語による翻訳はいつ作成されますか?出願人には送付されますか?
【回答】
IPRP(第Ⅰ章)は、優先日から30月経過した後に国際事務局から各指定官庁に送付されます。なお、指定国が要求した場合は、英語による翻訳が国際事務局により作成され、指定官庁及び出願人に送付されます。IPRP(第Ⅱ章)及びその所定の英訳(ただし附属書類を除く)は、国際事務局により作成され、各選択国に送付されます。
なお、当該英訳文は各選択国と同時に出願人にも送付されます。
国際事務局からの送付は、各選択国による請求により、優先日から30月経過後に行われます。
22 【問】国際事務局への書類の提出方法の一つである、「PCTオンラインドキュメントアップロードサービス」について教えてください。
【回答】
国際出願の手続には、WIPOへ直接提出することが義務づけられている書類、あるいはその書類の性格から、当該書類の提出先の官庁としてWIPOを選択できる場合があります。WIPOへの書類の提出方法のひとつに、WIPOのウェブサイトを通じて直接提出することができる、「オンラインドキュメントアップロードサービス」があります。具体的な手順、提出可能な書類など、詳細は「PCTオンラインドキュメントアップロードサービスについて」を御覧ください。
※国際出願及び日本国特許庁に対して提出する書類は、このサービスを利用して提出することができません。
23 【問】条約第19条に基づく補正等、国際事務局へ直接する手続を代理人が行う際に、委任状は必要ですか。
【回答】
国際事務局は、原則として、委任状の提出要件を放棄しています。条約第19条に基づく補正のほか、代理人が委任状を国際事務局へ提出しなくてもよい書類の例として「優先権主張の補充(訂正)」、「国際調査見解書に対する非公式コメント」などがあります。しかしながら、出願時の願書に表示されていない代理人又は共通の代表者が新たに選任される場合、あるいは、そのような代理人又は共通の代表者により何らかの書類が提出される場合には、国際事務局に別個の委任状を提出しなければなりません。(注)国際出願の取下げ等、各種取下げ手続については、委任状の提出要件の放棄は適用されません(問3参照)。
24 【問】国際事務局に対し、早期の国際公開の請求をしました。請求後、どのくらいの期間で公開されますか。
【回答】
一律に短縮される期間は明示はされていないので、個々の案件に関して国際事務局の担当者に確認を取ることをお勧めします。
個々の案件の担当者はこちらから検索できます。
(WIPOのWebサイトへ)
なお、通常の国際公開の場合は、国際事務局は公開準備のために2ヶ月程度を要しているようです。
25 【問】国内移行期限(条約第22条)はいつですか。
【回答】
指定国日本への国内移行手続の期限は、優先日から起算して30ヶ月です(条約第22条)。優先権主張を伴わない国際出願の場合は、国際出願日から起算して30月です。「各指定国の国内移行期限について」も併せて御覧ください。
26 【問】外国語でされた国際特許出願(外国語特許出願)の翻訳文提出の特例期間(特許法第184条の4第1項)について教えてください。
【回答】
外国語特許出願の国内移行手続は、優先日から30月以内に明細書、請求の範囲、図面及び要約書の翻訳文を国内書面に添付して提出します。ただし、国内書面の提出期間満了前2月から満了の日までの間に国内書面を提出したときは、国内書面の提出から2月以内に国際出願翻訳文提出書に明細書、請求の範囲、図面及び要約書の翻訳文を添付して提出することができます。国内書面提出期間の満了日(優先日から30月)から2月ではないことに注意が必要です。
27 【問】PCT規則には、国内移行期限(条約第22条)を過ぎても、期間経過に対する救済措置があると聞きました。日本の国内移行についてもこれが認められますか。
【回答】
PCT規則49.
6の規定により、救済措置を適用する指定国は、国内移行期限を徒過した国際出願の権利回復の条件として(1)出願人の故意でない事由により徒過した場合、(2)出願人が相当な注意を払ったにもかかわらず徒過した場合、の二つの事由のいずれか(又は両方)を国内法令に規定し、国内移行期限を徒過した理由が上記事由に該当する場合は、その国際出願についての出願人の権利を回復することとされています。この救済措置を国内法令に適合させるまでの間、経過措置を適用して留保している指定国もあります。
日本はこの救済措置の規定については、経過措置を適用してきましたが、平成23年6月に公布された特許法等の一部を改正する法律(平成23年法律第63号)が平成24年4月1日に施行されることにより、施行日以後に翻訳文提出期間の満了日を迎える外国語特許出願について、当該救済措置の対象となります(問28も併せて御参照ください)。
28 【問】国内移行期限の徒過に対する権利回復の救済措置を受けるための手続について教えてください。
【回答】
PCT規則49.6では、出願人の権利回復の請求は、国内移行期限を徒過した日から12ヶ月以内又は、徒過の事由が解消した日から2ヶ月以内のいずれか早く満了する日(指定官庁の適用する国内法令が認める場合にはより遅い時)までに、出願人は国内移行手続を行うとともに、徒過の理由を説明した権利回復の請求を行う必要があります。また、指定官庁が要求する場合には、回復のための手数料、または必要な証拠等を提出する必要もあります。それぞれの指定国によって、国内移行期限も徒過に対する救済の仕方も異なりますので、具体的な手続については、各指定 官庁に直接お問い合わせください。WIPOのホームページに掲載されている「PCT出願人の手引き(PCT Applicant's Guide)」の各指定国の国内段階(National Chapter)の欄を参考にすることもできます。 指定国日本においては、平成24年4月1日以降に翻訳文提出期間の満了日を迎える外国語特許出願について、当該救済措置の対象となります(問27参照)。救済されるための要件、手続の流れ等の詳細は、「期間徒過後の手続に関する救済規定について」を御参照ください。

[更新日 2012.4.2]



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