災害時の計画を立てる
8.1.1.1. 予備のハードウェアを用意しておく
最も簡単なこととして、ハードウェア障害によるダメージは予備のハードウェアを用意しておくことで軽減できます。当然、この手段は次の 2 点が前提となります。
これらについては次のセクションで詳細に解説します。
8.1.1.1.1. 技術を習得する
過去にどのくらいの経験があったか、ハードウェアについての知識などにより、技術の習得はそれほど問題にならないかもしれません。しかし、ハードウェアに関する経験がない場合は、PCの修復についての予備コースを専門学校などで習得するのもいいでしょう。こうしたコースは企業レベルのサーバに関する問題に取り組む管理者には十分とは言えませんが、基本を学ぶには有効な方法です(ツールやコンポーネントの適切な取り扱い方法、基本となる診断方法など)。
| ヒント |
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| まず修復作業に取りかかる前に、ハードウェアについて次のことを確認します。 保証またはサービス契約で補償されているハードウェアの修復を自分で試みる場合、こうした契約条件に違反し、その保証またはサービス契約の適用範囲を無効にしてしまう可能性があります。 |
しかし、交換するハードウェアを適切に選べば、最低限の技術であっても障害を起こしているハードウェアを調査して交換することができるかもしれません。
8.1.1.1.2. 予備のハードウェア
予備のハードウェアについては、災害からの修復関連におけるさまざまな側面を考慮する必要があります。次のような事項に気をつけてください。
許容できる最長ダウンタイム
修復作業に必要とされる技術
予備に費やせる予算
予備の保管に必要とされる保管スペース
同じ予備を利用できる他のハードウェア
各事項それぞれが用意しておくべき予備の種類と関連性があります。例えば、フルセットで予備のシステムを保管すると、ダウンタイムを最小限に抑えるのでインストール技術も最低限ですみますが、予備の CPU と RAM モジュールだけを保管しておくよりずっと費用がかかります。しかし、1台のシステムを予備にすることで利便となるような数十台の同一サーバを保有している企業や組織なら、この経費も価値があるでしょう。
いずれにしても次の問題は避けられないので解説していきます。
8.1.1.1.2.1. 用意しておく在庫量について
予備の在庫レベルに関してもさまざまな側面から考慮する必要があります。次が主要な点となります。
極端に言えば、最大2日間ダウンしても耐え得るシステムや、年に1度程度の割合で使用する可能性があり1日で補填できる予備に対しては、在庫は1つだけで構わないでしょう(24時間以内に確実に確保できるものについては、予備はなくても構いません)。
一方、2分間以上のダウンが許容できないシステム、及び月に1回ほどの割合で使用する可能性がある予備(補充するのに2、3週間はかかる)には、半ダース(またはそれ以上)の在庫が必要でしょう。
8.1.1.1.3. 予備とはならない予備
予備が予備ではないとはどういう状況を指すのでしょうか。日常的に使用しているハードウェアであるけれど、優先度の高いシステムに必要性が生じたときに予備として使用することができる状況のことです。この方法をとると次のような利点があります。
ただし、この方法にはマイナス面もあります。
こうした制約を考慮して、別の実稼働システムを予備として使用するのは有効かもしれませんが、この方法の成否はそのシステム特定の作業負担量やシステムの欠落によるデータセンター全体の業務に及ぼす影響にかかってきます。
8.1.1.2. サービス契約
サービス契約によりハードウェア障害の問題を他の誰かに修復してもらうようにすることができます。ここで行なわなければならないことは、実際に障害が発生していることを確認すること、ソフトウェア関連の要因があるようには見られないことを確認することだけです。これらを確認してから電話をかけると誰かが修理に赴いてくれることになります。
非常に簡単に見えますが、実際には目に見えないものがまだあります。サービス契約を考慮する際に配慮すべき事項をいくつかあげてみます。
次のセクションではこれらを詳細に調べていきます。
8.1.1.2.1. 適用範囲
異なるニーズに合う各種のサービス契約があります。各種の契約で変動の大きいもののひとつが適用範囲に関連しています。特権に対する契約料金を払わない限り、電話をするといつでも技術者がすぐに駆け付けてくれるということは期待できません。
代わりに、契約内容によっては特定の日/時間までサービス会社に電話することさえできないかもしれないし、できたとしてもサービス会社は契約に指定されている日/時間まで技術者を送りません。
ほとんどの適用範囲は技術者が送られる時間と曜日について定義されています。一般的な適用範囲をいくつかあげておきます。
ご存知かもしれませんが、契約コストは適用範囲によって増加していきます。一般的に、月曜日から金曜日までの適用範囲は、土日を含む適用範囲より低コストになる傾向です。
しかし、ここでもシステム管理者としていくつかの作業を自発的に行なう気があれば経費を軽減できる可能性があります。
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8.1.1.2.1.1. 引き取り修理サービス
標準的な営業時間以外で技術者の派遣を必要としない状況でありシステム管理者に何が壊れたのか判別できる十分な経験があれば、引き取り修理サービスについて考慮してみてもいいでしょう。さまざまな名称(ウォークインサービス、ドロップオフサービスなど)で知られるこのサービスは、メーカーがサービスデポを持ち、技術者が顧客から持ち込まれるハードウェアの修理作業を行なっていることがあります。
引き取り修理サービスには迅速な対応という利点があります。技術者が送られ現場に到着するまで待つ必要がありません。デポの技術者が顧客からの電話を受けて現場へ向かうのではなく、顧客がハードウェアをデポに持ち込み次第、修理作業にとりかかれる技術者がいるということです。
引き取り修理サービスは集中センターで行なわれるため、必要となる部品の用意がある可能性が高いと言えます。その部品の予備が在庫に入ったばかりの別の支店から翌日到着で発送させたり、クーリエで取り寄せる必要がなくなります。
� �かしトレードオフがいくつかあります。最も明らかなのはサービスの時間帯を選ぶことができないことです。デポが開いている間にサービスを受けることになります。また、技術者は退社時刻を延長して作業はしないため、金曜日の16:30 に障害が発生してそのシステムをデポに 17:00 に持ち込んだ場合、技術者が翌週の月曜日の朝に出社するまで修理作業は行なわれません。
また、デポが近くにあるかどうか、オフィスの所在地が都市部である場合にはさほど問題にはなりませんが、地方の場合にはデポまで長距離を運転していくことになるかもしれません。
| ヒント |
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| 実際にハードウェアをデポまで移動する運搬方法を考慮に入れておきます。会社の車両を使用するのか、それとも自分の車を使用するのか。自分の車を使用する場合には、ハードウェアを積み込むのに必要なスペースや収容力があるのか。保険についてはどうなっているのか。運搬に複数人数が必要か。 ありきたりなことですが引き取り修理サービスを利用するか決める前に考えておく必要があります。 |
8.1.1.2.2. レスポンスタイム
適用範囲に加え、多くのサービス契約はレスポンスタイムのレベルを指定しています。つまり、電話をかけてサービスを依頼したときに技術者が到着するまでにどのくらいかかるでしょうか。ご想像の通り、レスポンスタイムが早いほどサービス契約は高額になります。
レスポンスタイムには限度があります。例えば、メーカのオフィスから顧客のところまでの移動時間は可能なレスポンスタイムに大きく関連してきます [1]。4 時間以内のレスポンスタイムは通常、早い方の対応だとされています。これより遅いレスポンスタイムは 8 時間(事実上、標準営業時間契約の"翌日"サービスになる)から 24 時間の範囲になります。他のサービス契約事項と同様に、レスポンスタイムも相応の価格で交渉が可能です。
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| 注記 |
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| よく起こることですが、レスポンスタイムの条項があるサービス契約ではメーカのサービス機関の応対能力を超えて拡大されていることがあることを知っておく必要があります。非常に忙しいサービス機関は契約レスポンスタイムを守るためにレスポンスタイムが短いサービスの依頼に対してはとりあえず誰かを — 誰でも構わない — 送るというのは聞いたことがないこともありません。どうやらこの人が問題を診断して「オフィス」に電話をかけ「適切な部品」を誰かに持って来させるようです。 実際には、この人は入ってきた依頼を処理できる人を待っているだけということになります。 特別な状況ではこうしたことが起こることも理解できなくはありませんが(サービスエリア全体のシステムに影響している電力の問題など)、これが一貫した営業方針であるならサービスマネージャに連絡をとり説明を求めるべきでしょう。 |
レスポンスタイムに緊急性が必要であれば(あわせて予算も増大する)、レスポンスタイムをさらに短縮できる方法がひとつあります — レスポンスタイム無し。
8.1.1.2.2.1. レスポンスタイムなし — オンサイトの技術者をおく
該当する状況(このエリアで最大の顧客のうちのひとつ)、十分なニーズ(等級に関わらずダウンタイムは受け入れられない)、財政上のリソース(値段を聞いたら払えないほど)により、システム管理者がオンサイト専任の技術者の候補となるかもしれません。技術者をおくことにより次ぎのような点が明らかに利点となります。
予期通り、このオプションは非常に費用がかかり、特にオンサイト技術者を 24x7 で必要とする場合はなおさらです。ただし、企業にとって適切な手段であるならば、利点を活かすためにいくつか注意しておく点があります。
まず、、オンサイト技術者にはワークスペース、電話、該当するアクセスカードや鍵、など正社員が必要とするさまざまなリソースが必要となります。
オンサイト技術者が該当のパーツを持っていなければあまり役に立ちません。このため、技術者の予備パーツ用の保管場所を必ず確保します。また、システム構成に該当するパーツの在庫を技術者が保持し、他の技術者がこうしたパーツをごく普通に盗用しないように注意します。
8.1.1.2.3. パーツの入手可能状況
明らかに、パーツの入手が可能な状況はハードウェア障害に対して企業のダメージを食い止める大きな役割を果たします。サービス契約の文脈では、パーツの入手可能状況がもうひとつ別の範囲となり、パーツの入手可能状況はその顧客に対してだけでなく同じパーツを同様に必要とする可能性があるメーカの守備範囲の他の顧客にも利用されます。自分の会社より多くのハードウェアをそのメーカから購入している会社があればその会社の方がパーツの入手(及び技術者)に関して優先的な扱いを受けるかもしれません。
残念ながら、サービスマネージャに相談する以外にはこうした状況の場合できることはほとんどありません。
8.1.1.2.4. 利用できる予算枠
前述したように、サービスの契約は提供されるサービスの性質によって値段が異なります。サービス契約関連のコストは繰り返し発生するものであることに留意してください。契約期限が切れる度に新規の契約を協議して支払う必要があります。
8.1.1.2.5. サービスが適用されるハードウェア
コストを最小限に抑えるために役立つ点をここにあげます。24x7 のオンサイト技術者、オンサイトのスペア(指定したもの)が含まれるサービス契約について協議していると考えてみます。このベンダから購入したハードウェアはすべて適用範囲に入ります。重要度がそれほどは高くない作業を行なうのに会社の受け付けで使用する PC もこれに含まれます。
この PC は本当にオンサイトで 24x7 体制で誰かが必要でしょうか。この PC が受付での作業に非常に重要であったとしても、受付営業時間は 09:00 から 17:00 の間だけです。次のような状況はあまりありません。
したがって、この PC が土曜日の真夜中に修理を必要とする可能性にコストをかけるのはムダです。
重要性が高くない作業をするためのハードウェアは重要性の高いハードウェアとは別にグループ分けするなどサービス契約を分割します。このように、コストをできるだけ低く抑えることができます。
| 注記 |
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| 設定が全く同一になされたサーバが 20 台あり、会社にとって極めて重要な作業を行なっている場合、1 台か 2 台に高レベルのサービスを適用し、その他はずっとコストが低いものを適用するようなサービス契約にしたい誘惑に駆られるかもしれません。すると、週末にサーバのどれが障害を起こしても、そのサーバが高レベルサービスが適用されるサーバだと言えるわけです。 これはしないでください。不正であるばかりでなく、ほとんどのメーカはシリアル番号でこれらを追跡しています。こうしたチェックを回避する方法を見つけたとしても、あとで発覚した結果、正直に本当に必要としているサービスの対価を支払うよりもはるかに多額の出費となります。
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